「フリーランスになって初めての確定申告。ふるさと納税って、やる意味があるのかな」。独立したばかりの個人事業主が抱える、典型的な疑問です。

会社員時代にふるさと納税をしていた方でも、独立後は計算方法が変わります。給与所得控除の代わりに、青色申告特別控除や国民年金・国民健康保険が関わってくるためです。ワンストップ特例も使えません。

本記事では、個人事業主・フリーランス向けに、限度額の計算方法、青色申告の影響、確定申告の手順、会計ソフトでの処理、おすすめポータルまでを網羅的に解説します。

結論:個人事業主でも限度額は使える。ただし事業所得ベース

個人事業主のふるさと納税は、会社員と同じ制度を使えますが、計算の前提が違います。会社員のような給与所得控除はない代わりに青色申告特別控除が使え、社会保険料は厚生年金・健康保険ではなく国民年金・国民健康保険になります。

この前提の違いを押さえれば、ふるさと納税も iDeCo も、確定申告もスムーズに回せます。

※ 本記事のシミュレーションは旧基礎控除 48 万円ベースの概算です。令和7年度税制改正(基礎控除を最大 95 万円に段階制化)後は、ご自身の限度額が数千円程度増える方向になります。実額は当サイトのシミュレーターと税務署・税理士でご確認ください。

給与所得者と個人事業主の計算手順の違い

ふるさと納税の限度額は、どちらも同じ公式「(住民税所得割額 × 20%) ÷ (90% − 所得税率 × 1.021) + 2,000 円」で計算します。違うのは、その公式にたどり着くまでの過程です。

計算の流れ(給与所得者)

年収 → 給与所得控除 → 給与所得 → 基礎控除・社会保険料控除・扶養控除 → 課税所得 → 住民税所得割額(10%)。給与所得控除が自動で引かれ、社会保険料は会社との折半です。

計算の流れ(個人事業主)

売上 − 経費 → 事業所得 → 青色申告特別控除 → 基礎控除・国民年金・国民健康保険・扶養控除 → 課税所得 → 住民税所得割額(10%)。自分で経費を把握し、国民年金と国民健康保険を全額自己負担する点が給与所得者と大きく異なります。

項目給与所得者個人事業主
所得の元給与収入(額面)売上 − 経費
自動控除給与所得控除青色申告特別控除(自分で申告)
社会保険健康保険・厚生年金(会社と折半)国民健康保険・国民年金(全額自己負担)
ワンストップ特例使える使えない(確定申告が必須)
寄付金の申告方法年末調整または確定申告確定申告(寄付金控除欄)

青色申告特別控除の影響

青色申告特別控除は、事業所得を直接減らせる強力な控除です。申告の方法に応じて 3 段階あります。

控除区分金額条件
青色 65 万円控除650,000 円e-Tax 提出+複式簿記+電子帳簿保存
青色 55 万円控除550,000 円複式簿記(紙提出など)
青色 10 万円控除100,000 円簡易簿記
白色申告0 円特別控除なし

青色申告特別控除を使うと課税所得が下がるため、ふるさと納税の限度額もあわせて下がります。ただし、下がる限度額より、青色申告自体の節税額(控除額 × 所得税率 + 住民税 10%)のほうが大きくなる傾向があります。「限度額が減るから青色申告はやめる」という選択は損です。65万円控除と10万円控除の選び方は 「青色申告65万円控除 vs 10万円控除」 で詳しく整理しています。

国民年金・国民健康保険と限度額の関係

個人事業主は、会社員のように勤務先と保険料を折半する仕組みがないため、国民年金と国民健康保険を全額自己負担します。どちらも社会保険料控除として全額所得控除されるため、ふるさと納税の限度額計算に大きく影響します。

国民年金(全国一律)

令和 8 年度(2026 年度)の国民年金保険料は月 17,920 円。年額にすると215,040 円になります。毎年微増の傾向です。

国民健康保険(自治体で大きく異なる)

国民健康保険料は自治体ごとに料率が違います。一般的な計算式は「前年所得 × 所得割率(7〜10% 前後)+ 均等割(世帯人数 × 4〜5 万円)+ 平等割」で、賦課限度額は 2025 年度で年 109 万円(40 歳未満で介護分なしの場合は 92 万円)。同じ所得でも、住む自治体で年間 10〜20 万円の差が出ることもあります。

事業所得別シミュレーション

以下の試算は、青色 65 万円控除・独身・扶養なし・40 歳未満を前提にした概算です。正確な数字は、当サイトの併用シミュレーターで「個人事業主」モードを選んでご確認ください。

事業所得(経費控除後)ふるさと納税限度額所得税(年間)住民税所得割
300 万円¥27,000¥65,000¥135,000
500 万円¥55,000¥245,000¥275,000
700 万円¥102,000¥502,000¥410,000
1,000 万円¥173,000¥1,080,000¥620,000

※ 国民健康保険は自治体で差があるため、概算として所得の 10% + 均等割 45,000 円で計算。扶養家族がいる場合や iDeCo を拠出している場合は、さらに限度額が変動します。

個人事業主ならではの3つの注意点

個人事業主におすすめのポータル

個人事業主は確定申告で寄付金受領証明書をまとめて処理する必要があるため、管理画面から履歴が一括ダウンロードできるポータルが便利です。以下は個人事業主に特に向いている 3 サイトです。

ポータル特徴個人事業主に向く理由
さとふる定番、発送が早い寄付履歴を一括 CSV ダウンロード可能
ふるなび家電・日用品・旅行系に強い寄付金受領証明書の電子発行対応
ふるさとチョイス自治体数最多(1,700 超)希少な返礼品・地域選択肢が豊富

会計ソフトでの処理

ふるさと納税(寄付金)は事業の経費ではなく、個人の所得控除として扱います。会計ソフトには専用の入力欄があるため、適切な場所に入力すれば確定申告書 へ自動反映されます。

主要会計ソフトでの入力場所

  • freee:確定申告書類の作成画面 →「寄付金控除」欄
  • マネーフォワードクラウド:確定申告 → 所得控除 →「寄付金控除」
  • 弥生オンライン:所得控除 → 寄付金控除欄

どのソフトでも、寄付金受領証明書を手元に用意して、自治体名・寄付額・寄付日を入力するだけで済みます。e-Tax 連携の場合、寄付金受領証明書の紙提出は不要(XML 形式で電子送信)です。

個人事業主の確定申告とふるさと納税

青色65万円控除の電子申告に対応した会計ソフトと、事業主に使いやすいふるさと納税ポータルです。

よくある質問

Q.法人化していても個人のふるさと納税はできますか?
法人設立後も、役員報酬や個人事業の売上など個人としての所得があれば、ふるさと納税は可能です。限度額は「個人の課税所得」ベースで計算します。法人から寄付する場合は「企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)」という別制度があり、損金算入と税額控除を合わせて寄付額の最大約9割が税優遇されます。
Q.開業初年度で事業所得がまだ少ない場合も寄付できますか?
可能ですが、課税所得が低いと限度額も小さくなります。副業収入や前年の給与所得(会社員時代の分)がある場合は、それらを合算した課税所得で計算します。初年度の所得が見えにくい時期は、12 月の確定申告直前に年収見込みを固めてから寄付額を決めるのが安全です。
Q.ふるさと納税の寄付金は経費にできますか?
できません。ふるさと納税は「個人の寄付」で、事業活動に直接関わる支出ではないため、事業経費ではなく所得控除(寄付金控除)として扱います。会計ソフトでも「事業主貸」として処理し、決算書上は経費に計上しないでください。
Q.青色申告の方が損する場合はありますか?
原則、ありません。青色申告特別控除により課税所得が下がれば、ふるさと納税の限度額も下がりますが、青色控除による節税額(所得税+住民税)のほうが大きくなる傾向があります。例外は「事業所得が赤字で控除の恩恵を受けられない年」などですが、それは青色ではなく所得の問題です。
Q.確定申告書のどこにふるさと納税を記入しますか?
確定申告書 の第一表「寄付金控除」欄に合計額を記入します。第二表「寄付金控除に関する事項」には、自治体名と寄付額を記載してください。e-Tax を使う場合は、寄付金受領証明書の電子データを添付するだけで済みます。
Q.国民健康保険料が高い自治体から安い自治体に引っ越すと、ふるさと納税の限度額はどう変わる?
国民健康保険料が下がると、社会保険料控除も下がります。結果として課税所得が上がり、ふるさと納税の限度額は増えます(数千〜1 万円程度)。ただし、引っ越しのコストや住環境の変化を考えれば、保険料だけで住む場所を決めるのは非現実的です。詳細は別記事「フリーランスの国民健康保険料、自治体差を読む」で解説しています。

まとめ:この記事のポイント

個人事業主モードで限度額を確かめるには、当サイトの併用シミュレーターが便利です。売上から経費を引いた事業所得、青色申告区分、iDeCo 月額を入力するだけで、限度額と手取り概算が表示されます。

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控除ナビ編集部

個人事業主として 10 年、ふるさと納税の活用も同じく 10 年にわたって自ら実践してきた実務経験を持つメンバーで構成。複数の所得控除・税額控除(ふるさと納税・iDeCo・医療費控除・住宅ローン控除など)を併用するケースを自身の確定申告で運用してきた立場から、記事は国税庁・総務省・厚生労働省の一次資料と、各制度の最新通達・告示を参照しながら、四半期ごとに更新しています。

ふるさと納税iDeCo医療費控除住宅ローン控除青色申告インボイス制度
最終更新
2026年4月
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参考文献・公的資料

  1. [1]青色申告特別控除国税庁
  2. [2]国民年金保険料日本年金機構
  3. [3]ふるさと納税ポータルサイト総務省

本記事は税理士法第 52 条に基づく税理士業務(個別税務相談・税務代理・税務書類の作成)には該当しません。記載内容は一般的な情報提供を目的としており、個別具体的な税務判断は税理士または税務署にご確認ください。記事内のリンクには広告(アフィリエイトリンク)を含む場合があります。詳細はアフィリエイトポリシーをご覧ください。