共働き夫婦の医療費控除は、夫婦どちらの申告書に書いても構いません。だからこそ「どちらで申告すれば得か」で迷います。

先に結論をお伝えすると、原則は所得が多い人にまとめて申告するのが有利です。ただし、所得が低い側の総所得金額が200万円未満だと逆転する例外があり、ふるさと納税やワンストップ特例との関係も判断に関わります。

本記事では、原則と例外、ふるさと納税との組み合わせ、そして最終的にどちらで申告するかを決める順序を整理します。

結論:原則は所得が多い人にまとめる

金額が近い年は、両方のパターンをシミュレーターで比べるのが確実です。まずは仕組みから見ていきます。

※ 本記事の早見表は、令和7年度税制改正を反映した概算です。実額は当サイトのシミュレーターでご確認ください。

なぜ所得が多い人が有利なのか

医療費控除は所得控除です。控除額に直接お金が戻るのではなく、控除額にその人の所得税率をかけた分だけ税金が軽くなります。所得税は所得が高いほど税率が上がる累進課税なので、同じ控除額でも所得が多い人のほうが戻りが大きくなります。

所得が低い側が得になる例外

医療費控除額は「支払った医療費 − 10万円」で計算しますが、総所得金額が200万円未満の人は、この10万円が「総所得金額の5%」に下がります。つまり下限が低くなり、控除できる金額が増えます。

判断が微妙なのは、医療費が10万円前後で夫婦の所得差が大きい年です。この場合は両方の申告パターンを試して、戻る税金を比べてください。

ふるさと納税・ワンストップとの関係

ふるさと納税は夫婦それぞれの名義で行い、限度額も別々です。医療費控除をどちらで申告するかは、ふるさと納税に次の2点で関わります。

  • 申告した側の限度額がわずかに下がる:医療費控除で課税所得が下がるため、その人のふるさと納税限度額も数千円下がる。もう一方は影響なし
  • 申告した側はワンストップ特例が使えなくなる:確定申告になるため。ふるさと納税も同じ申告書に寄付金控除として書く。もう一方はワンストップのまま続けられる

申告する側の限度額の下がり方(早見表)

医療費控除を申告した人の、ふるさと納税限度額の減少幅です(独身・扶養なし・40歳未満の給与所得者を前提とした概算。共働きでも、申告する本人の年収で読み替えられます)。

申告する人の年収限度額(控除なし)医療費控除10万の減少幅医療費控除20万の減少幅
400 万円¥42,000¥2,000¥4,000
500 万円¥61,000¥2,000¥8,000
600 万円¥78,000¥3,000¥5,000
700 万円¥109,000¥3,000¥6,000
800 万円¥131,000¥3,000¥6,000
1,000 万円¥178,000¥3,000¥6,000

減少幅は数千円で、医療費控除そのものの節税額のほうが大きいのが通例です。夫婦それぞれの正確な限度額は、当サイトの併用シミュレーターで確認できます。

どちらで申告するか ― 判断の順序

  1. 医療費を全部合算する:生計を一にする家族分をまとめ、保険金などで補填された額を引く
  2. 所得が低い側が200万円未満か確認:該当し、医療費が10万円前後なら、低い側での申告も候補になる
  3. 両パターンで戻る税金を比べる:シミュレーターで、夫で申告した場合・妻で申告した場合の税額を出す
  4. ふるさと納税・ワンストップの都合を加味:ワンストップを残したい配偶者がいるなら、そちらに医療費控除を寄せない

医療費控除の年もふるさと納税を活用

確定申告でまとめて処理する側にも、ワンストップ特例を残す側にも使いやすいふるさと納税ポータルをまとめました。

よくある質問

Q.医療費控除は夫婦どちらで申告するのが得ですか?
原則は、所得が多い人にまとめて申告すると節税額が大きくなります。適用される所得税率が高い人ほど、同じ控除額でも戻る税金が大きいためです。ただし、所得が低い側の総所得金額が200万円未満の場合は、医療費控除の下限が「10万円」ではなく「総所得金額の5%」に下がり、控除できる金額そのものが増えます。医療費が10万円前後で夫婦の所得差が大きいときは、両方のパターンをシミュレーターで比べてください。
Q.医療費は夫婦の分を合算できますか?
できます。生計を一にする家族の医療費は、まとめて1人が申告できます。共働き夫婦なら、支払った人ではなく「まとめて申告する人」を選べるので、原則は所得が多い側に集約します。子どもの通院費や親の医療費も、生計が一つなら合算できます。
Q.医療費控除を申告すると、その人のふるさと納税はどうなりますか?
医療費控除を申告した人は、課税所得が下がるぶんふるさと納税の限度額もわずかに下がります(数千円程度)。さらに、その年は確定申告になるのでワンストップ特例が使えません。医療費控除を申告しないほうの配偶者は影響を受けず、ふるさと納税もワンストップ特例のまま続けられます。
Q.夫が医療費控除を申告し、妻はふるさと納税だけ。妻はワンストップ特例を使えますか?
使えます。ワンストップ特例が使えなくなるのは「確定申告をする本人」だけです。夫が医療費控除で確定申告をしても、妻が自分のふるさと納税をワンストップ特例で申請することは問題ありません。夫婦それぞれの手続きは別々に判断します。
Q.所得が低い側で申告したほうが得になるのはどんなときですか?
低い側の総所得金額が200万円未満(給与収入で約311万円以下が目安)で、かつ医療費が10万円をあまり超えない年です。この場合、下限が「総所得金額の5%」に下がるため、控除できる金額が10万円基準より増えます。増えた控除額 × 税率の効果が、所得が高い側との税率差を上回れば、低い側での申告が得になります。金額が近いときは両方試すのが確実です。

まとめ:この記事のポイント

夫で申告した場合と妻で申告した場合、それぞれの税額とふるさと納税限度額は、当サイトの併用シミュレーターで年収を入れ替えて比べられます。

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控除ナビ編集部

個人事業主として 10 年、ふるさと納税の活用も同じく 10 年にわたって自ら実践してきた実務経験を持つメンバーで構成。複数の所得控除・税額控除(ふるさと納税・iDeCo・医療費控除・住宅ローン控除など)を併用するケースを自身の確定申告で運用してきた立場から、記事は国税庁・総務省・厚生労働省の一次資料と、各制度の最新通達・告示を参照しながら、四半期ごとに更新しています。

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最終更新
2026年8月
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参考文献・公的資料

  1. [1]医療費を支払ったとき(医療費控除)国税庁
  2. [2]医療費控除の対象となる医療費国税庁
  3. [3]ふるさと納税ポータルサイト総務省

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